株式の名義変更 特殊な口座(特別口座)について
特別口座について
株式は証券会社で購入し、証券会社の特定口座(源泉あり)に預けているのが一般的です。
しかし、会社の持ち株等のケースでは、証券会社に株式を預けておらず、株券のまま保有していたという方もおります。この様なケースの場合、株券等の紙ベースで上場会社の株式を管理していると膨大な事務量となってしまうため、株式のデータについて、信託銀行等の特別口座で管理されていることがあります。
まず各案内で確認して下さい
株式を保有している方の場合、株主総会等の案内や配当金の案内等、年に数回、株主名簿管理人(主に信託銀行等)から、書類が送付されてくることが多いです。
株主名簿管理人(主に信託銀行等)から上記の書類が送付されてくるのに、証券会社からは何も案内が届かないという方は、もしかしたら、特別口座で株式が管理されているのかも知れません。
特別口座と特定口座は別物です
とても間違いやすいのが、特別口座と特定口座です。
特定口座は、一般的に証券会社で開設している口座で、特定口座(源泉あり)を選択している方が多いと思います。この口座を開設している場合、株式の売却等で利益が出ても、証券会社が申告を代わりに行ってくれるというイメージを持っていると思います。
しかし、特別口座は信託銀行等が管理している口座で、全くの別物です。特別口座は、応急措置的な口座のため、特別口座で管理されている株式は、証券会社等の口座に移し替えない限り、売却等は原則出来ません。
特別口座の見つけ方
手許の資料のみで確認する場合には、配当金の案内等に株主名簿管理人の記載されているので、株主名簿管理人に連絡をして、株式の管理状況を確認するという方法があります。
当事務所の場合、特別口座で管理されている株式の漏れを防止するために、以下の様な方法で確認致します。
- 証券保管振替機構(ほふり)へ、登録済加入者情報開示請求書を提出
相続人であることを明らかにする資料(戸籍等)を添付することで、相続人から確認することが可能です。 - 証券保管振替機構(ほふり)から届いた、登録済加入者情報通知書を確認する。
証券会社で口座を開設して株式を預けている場合、証券会社の名前が記載されますが、証券会社に口座を開設していない場合、信託銀行等の名前が記載されます。
上記の様に証券会社の記載が無く、信託銀行等の記載のみの場合には、特別口座が開設されています。 - 登録済加入者情報通知書記載の信託銀行等に確認をする。
それぞれの信託銀行等に連絡をして、所定の用紙を取り寄せ、必要書類を添付して提出し、口座の内容を確認します。
相続人であることを明らかにする資料(戸籍等)を添付することで、相続人から確認することが可能です。
上記の方法で特別口座を調査すれば、特別口座があったとしても発見出来ます。
場合によっては、一部の株式が証券会社の特定口座、一部の株式が信託銀行等の特別口座という複雑なケースもありますので、株式を保有している方の相続の場合、当事務所では全件、上記の確認を行っております。
しっかり調査すれば分かることなのですが、手を抜いてしまい、証券会社のみの調査で終わらせてしまう方も多いため注意が必要です。
特別口座の株式の相続手続きについて
特別口座で管理している株式については、相続人名義の証券会社の口座に移し替える必要があります。
特別口座で管理されている株式は、一旦、相続人の口座に移し替えなければ、原則、売却は出来ません。(但し、端数の株式等の売却は可能です。)
信託銀行等の特別口座の株式の相続で必要な書類は、通常、以下のとおりです。
- 信託銀行等の所定の用紙(相続人実印で押印)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
特別口座の株式を移し替える先の証券会社の口座は、一般口座になり、特定口座には移し替えることが出来ません。
相続人の証券会社の情報として、以下の情報が必要になります。
- 証券会社等の名称
- 部支店名
- 機構加入者コード
- 加入者名
- 加入者口座コード(21桁)
特に加入者口座コード(21桁)については、証券会社に口座を開設していても、全く把握していないと思いますので、証券会社に、「相続で特別口座の株式を証券会社に振替えたいので、必要な情報を教えて下さい」と説明して、確認するとスムーズだと思います。