相談事例:土地の固定資産税が突然かからなくなりました。
解決事例ダイジェスト
固定資産税が掛からないケース又は固定資産税の納税通知書が送付されてこないケースというのがいくつか考えられます。田舎の土地の場合には、固定資産評価額が下がり、免税点以下になったため固定資産税の納税通知書が送付されて来なくなったというケースが多いかと思います。(イメージとしては、金額が低いため、固定資産税を徴収する方が手間が掛かるという感じです。)
固定資産税が課税されていなくても、市役所の固定資産税の係に確認をとると、市役所で把握している不動産を確認することが可能なため、今回の様なケースでは、まず市役所で固定資産税の評価証明書及び名寄帳を調査することにより、不動産を発見することが可能です。その他注意点がありますので、司法書士からのコメントにまとめて記載致します。
相談内容
父は、田舎に土地を持っていたと思いますが、何年か前からは、固定資産税が突然掛からなくなり、市役所から納税通知書も送られて来なくなりました。
父の土地は、無くなってしまったんでしょうか?価値が無くても、一応父の土地なので、相続したいと思っています。
当事務所の対応
不動産は、固定資産評価額が一定金額以下になった場合、固定資産税が掛からなくなります。
その場合、固定資産税が掛からないので、当然、納税通知書も送られてこなくなります。
しかし、市役所では、父が所有している不動産を把握しておりますので、評価証明書や名寄帳等を取得する事により、父の不動産を把握する事が可能です。
その他、法務局で登記簿謄本・公図・地積測量図等を取得し、更に市役所で図面等を取り寄せる事で、現地の確認をとる事が出来ました。
現地の確認後、相続手続を行い、最後に登記識別情報と現地の確認資料をファイリングして、依頼人にお渡ししました。
司法書士からのコメント
上記の事例からは少し外れますが、私道等非課税の不動産等は、固定資産税の納税通知書に記載が省略されていることが多いと思います。
相続登記等の不動産の名義変更で、一般の方の中には固定資産税の納税通知書で手続きを行う方もいらっしゃいますが、市役所で固定資産税評価証明書を取得した方が、手続きの漏れを防止出来、安心です。あわせて名寄帳を取得しておくと、もっと安心です。(市役所毎に時期によっては取得出来ないところもあります)名寄帳とは、固定資産税評価証明書を作るための、大元の帳簿とお考え下さい。どうしても名寄帳から固定資産税評価証明書にデータを出力する際、データが漏れるケースがあるため、当事務所では、固定資産税評価証明書の他、名寄帳も必ず確認しております。
上記のチェックだけですと、市役所がそもそも把握していない不動産については、調査が出来ません。そのため、法務局で登記簿謄本及び公図・地積測量図・建物図面等の各種図面を取得します。登記簿謄本及び各種図面を確認し、まず前面道路の有無を確認します。前面道路がある場合、前面道路の登記簿謄本を取得して、前面道路を誰が所有しているかを確認します。それ以外にも電柱の底地やゴミ置場等、図面上、所有している可能性がある不動産についても、あわせて登記簿謄本を取得して誰が所有者かを確認します。
そして、お手元にある権利証を確認し、権利証に記載のある不動産についても、全て登記簿謄本や各種図面等を取得して、誰が所有者かを確認します。
上記の調査を行うことにより、凡そ不動産の漏れを防止することが出来ます。
但し、上記の確認方法でも、飛び地だったり、全く想定していない場所に土地を所有していて権利証も無かったというケースでは、不動産の調査が漏れてしまうこともあります。
普段から出来る限り、所有している不動産の情報を整理して、まとめておかないと、固定資産税評価額が低い土地や非課税の土地については、将来的に分からなくなってしまうことも、稀に生じますので注意が必要です。