親名義の不動産も今のうちに|検索用情報の申出のやり方と、家族が手伝うときの注意点

2026年4月1日から、不動産の名義人は、住所や氏名が変わったら2年以内に変更登記をすることが義務になりました。この負担を軽くするのが「検索用情報の申出」です。押さえるべきポイントは次の3つです。
① 一度申出をしておけば、住所が変わっても登記官が変更登記をしてくれる
法務局が住基ネットで変更を確認し、本人の了解を得て登記官が変更登記をします(スマート変更登記)。法務省は、申出を済ませておけば義務違反に問われることはなくなると案内しています。
② 費用は無料で、Webで手続きできる
押印や電子証明書は不要。法務省の「かんたん登記・供託申請」から申し出られます。
③ 2026年10月5日からは「国籍等」の申出も必要
日本国籍の方は、原則として本籍地が記載された住民票の写しなどを添付します。
■この記事で分かること
- 検索用情報の申出と「スマート変更登記」の仕組み
- 自分が「同時申出」と「単独申出」のどちらに当たるか
- かんたん登記・供託申請での申出の手順と必要書類
- 家族が手続きを手伝うとき、相続のときの注意点
監修:司法書士 石山健二
はながすみ司法書士事務所
検索用情報の申出とは?住所が変わっても登記が自動で更新される仕組み
「検索用情報」とは、法務局が住基ネット(全国の市区町村の住民票の情報をつなぐ仕組み)で不動産の所有者を探すための手がかりとなる情報です。これをあらかじめ届けておくと、住所や氏名が変わったときの登記を法務局に任せられます。
>住所等変更登記の義務化の内容と過料について詳しく見る
>相続登記の義務化と3年の期限
2026年4月から住所・氏名の変更登記が義務に
2026年4月1日から、不動産の名義人(登記簿に所有者として記録されている人)は、住所や氏名が変わった日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません。
正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料(義務違反に対する金銭の制裁で、刑事罰の罰金とは異なります)の対象になります。
2026年4月1日より前の変更で、まだ登記をしていない場合も対象で、期限は2028年3月31日です。
「スマート変更登記」の流れ
申出をした後は、次の流れで登記が更新されます。
- 法務局が2年に1回程度、住基ネットで住所・氏名の変更を確認する
- 変更があった人に「変更登記をしてよいか」の確認通知が届く(メールアドレスを届けていればメール、なければ封書)
- 本人が通知から1か月以内に回答する
- 了解があれば、登記官が職権で(本人の申請によらず法務局の側で)変更登記をする
この変更登記に登録免許税(登記の際に納める税金)はかかりません。ただし反映まで時間がかかるため、売却を控えているなど急ぐ場合は、自分で変更登記を申請しましょう。
申し出る6つの情報(氏名・ふりがな・住所・生年月日・メールアドレス・国籍等)
では、法務局に何を届ければよいのでしょうか。検索用情報として申し出るのは、本人を正確に特定するための次の6つの情報です。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 氏名 | 住民票のとおりに |
| 氏名のふりがな | 外国籍の方はローマ字氏名 |
| 住所 | 登記簿の住所が古くても、現在の住所 |
| 生年月日 | 住民票のとおりに |
| メールアドレス | 本人だけが使っているもの。なければ「なし」 |
| 国籍等 | 2026年10月5日以降の申出で必要 |
なお、国籍等の情報は法務局の内部で管理され、登記事項証明書などで公開されるものではありません。
自分は申出が必要?「同時申出」と「単独申出」
申出には、登記の申請と一緒に行う「同時申出」と、申出だけを行う「単独申出」があります。どちらに当たるかは、いつ名義人になったかで決まります。
これから不動産の名義人になる人=登記申請と同時に申出
2025年4月21日以降、所有権の保存登記や移転登記を申請するときは、新しく名義人になる人の検索用情報を申請書に記載します。相続・売買・贈与による名義変更もすべて対象です。以前に別の不動産で申出をしていても、新しく取得した不動産では改めて申出が必要です。
すでに不動産を持っている人=単独申出
2025年4月21日の時点ですでに名義人だった人は、登記とは別に「単独申出」をします。一方、それ以降に名義人になった人は、通常、名義変更の登記と一緒に申出を済ませているため、改めて申し出る必要はありません。
ただし、本人ではなく債権者などが代わりに登記を申請した場合(後述の「代位登記」)は、本人の申出がされていません。このような人は、後から単独申出をすることができます。
申出できない・スマート変更登記の対象外になる人
次の場合は、申出ができないか、スマート変更登記の対象になりません。
・法人
検索用情報の申出はできません。代わりに「会社法人等番号」を登記しておけば、法務局が変更を把握して変更登記をします。
・代位登記で名義人になった人
代位登記とは、債権者など本人以外の人が本人に代わって申請する登記です。その際は申出できませんが、登記の完了後に本人が単独申出できます。
・海外に住んでいる人
住基ネットで住所を確認できないため、スマート変更登記の対象外です。
検索用情報の申出のやり方【かんたん登記・供託申請で4ステップ】
単独申出はオンラインでも書面でもできますが、手軽なのは法務省の「かんたん登記・供託申請」を使う方法です。専用ソフトを入れる必要はなく、Webブラウザ上で手続きが完結し、押印や電子署名も、手数料もいりません。
ここでは、その流れを4つのステップに分けて見ていきます。
STEP1 対象不動産を確認する
登記事項証明書(登記簿の内容を証明する書類)で、不動産番号(13桁)と、甲区(所有権に関する事項の欄)で自分が甲区の順位何番の所有者かを確認します。不動産番号を入力すれば、所在・地番の入力は省略できます。
土地と建物は別々に登記されているため、自宅なら両方を確認しましょう。どこに不動産があるか分からない場合は、所有不動産記録証明制度で一覧を確認できます。
STEP2 本人確認書類の写しを用意する
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの写しを、画像やPDFのデータで用意します。マイナンバーカードは、個人番号のある裏面ではなく表面のみで足ります。国籍等を証する書類なども必要になるため、後述の「必要書類チェックリスト」もあわせて確認してください。
STEP3 「かんたん登記・供託申請」で入力・送信する
かんたん登記・供託申請にアクセスし、初めての場合は申請者情報の登録(IDとパスワードの設定)をしてログインします。
「検索用情報の申出」を選び、画面の案内に沿って検索用情報と不動産の情報を入力し、書類を添付して送信します。氏名と住所は登記簿ではなく住民票のとおり、現在のものを入力します。法務局の受付時間(平日8時30分〜17時15分)外に送信したものは、翌開庁日の受付になります。
STEP4 完了メールの「認証キー」を保管する
手続きが終わると、「【法務局】申出手続完了のお知らせ」という件名のメールが届きます。記載された10桁の「認証キー」は、後で登録メールアドレスを変更するときに必要なので、メールは削除せずに保存しましょう。
なお、認証キーを紛失しても、法務局に申出書を出し、本人確認書類を提示すれば登録メールアドレスの変更は可能です。
書面(郵送・窓口)で申し出る場合
パソコンやスマートフォンでの手続きに不安がある場合は、書面で申し出ることもできます。法務省のウェブサイトにある様式と記載例で申出書を作り、書類を添えて不動産を管轄する法務局へ持参または郵送します。郵送は書留郵便などを使い、封筒の表面に「検索用情報申出書在中」と明記します。
必要書類と費用
すでに不動産を持っている人が検索用情報の申出(単独申出)をする場合、必要な書類は、多くの場合、本人確認書類の写しと国籍等を証する書類だけです。費用も、書類の取得費用を除けばかかりません。
必要書類チェックリスト
| 書類 | 必要になる人 | ポイント |
|---|---|---|
| 本人確認書類の写し | 全員 | 運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)など |
| 国籍等を証する書類 | 2026年10月5日以降に申し出る人 | 日本国籍:本籍地が記載された住民票の写し、または戸籍の附票の写し 外国籍:在留カードの写しなど |
| 住所・氏名の変更の経緯がわかる書類 | 登記簿の住所・氏名からの変更を住基ネットで確認できない人 | 戸籍の附票の写しなど。変更日が2010年(平成22年)10月5日以降なら原則不要 |
| 委任状 | 家族などが代理人として申し出る場合 | 代理人に手続きを任せたことを示す書類 |
国籍等を証する書類について、法務省の案内では、単独申出の場合は日本国籍の方も本籍地入りの住民票の写しなどの提出が必要とされています。法務省の通達には、住民票コードの提供を受けて住基ネットで日本国籍を確認できれば添付不要とする扱いもありますが、これは主に登記申請と同時に申し出る場面を想定したものです。省略できるかどうかは、管轄の法務局に事前に確認すると確実です。
費用:登録免許税・手数料なし/司法書士に依頼する場合
申出にも、その後のスマート変更登記にも、登録免許税や手数料はかかりません。かかるのは住民票の写しなどの取得手数料と、書面の場合の郵送料くらいです。
司法書士に依頼する場合は報酬がかかります。親名義の不動産の相続登記が済んでいない場合は、相続登記と一緒に申出をすることになるため、まとめて依頼すると効率的です。
申出の前に知っておきたい6つの注意点
検索用情報の申出の手続きは簡単ですが、申出の漏れや、申し出たのに効果が出ないケースもあります。次の6点を確認しておきましょう。
① 対象は申し出た不動産だけ
スマート変更登記の対象は、申出をした不動産に限られます。自宅だけを申し出て、別に持つ田畑や山林、共有の私道を申し出ていなければ、それらの住所は古いまま残ります。
持っている不動産は、漏れなくすべて申し出ておきましょう。実家の土地と遠方の山林のように、担当する法務局が違う不動産があっても、そのうちどれか1つを担当する法務局にまとめて申し出ることができます。
② メールアドレスは本人専用のみ。家族のアドレスは不可
登録できるのは、名義人本人だけが使うメールアドレスです。家族が代理で手続きする場合も、家族のアドレスは使えません。持っていない場合は「なし」として申し出れば、確認は名義人の住所に封書で届きます。
③ 登記簿の住所が古いままでも「現住所」で申し出る
たとえば、A市で家を買ったあとB市、C市と引っ越し、登記簿の住所がA市のままという場合でも、申出には今の住所(C市)を書きます。申出後、法務局から「登記簿の住所を今の住所に書き換えてよいか」の確認が届き、了解すれば書き換えてもらえます。
ただし、2010年10月4日以前の引っ越しが含まれるなど、住所の移り変わりを法務局が住基ネットでたどれない場合は、戸籍の附票の写しなどが必要です。
④ 2026年10月5日以降は「国籍等」の申出が必要
2026年10月5日以降の申出では、国籍等(国籍のある国。台湾などの地域を含みます)も申し出ます。名義人が亡くなったとき、どの国の法律で相続を考えるか(準拠法)を確認する基礎情報になります。10月4日以前に申出を済ませた方も、国籍等を追加で申し出ることは可能です。
⑤ 海外に転居する予定がある人は職権登記の対象外
海外に住む人は住基ネットで住所を追えないため、スマート変更登記の対象外です。海外へ転居したら、その日から2年以内に自分で変更登記を申請します。転勤などの予定がある方は、出国前に段取りを考えておきましょう。
⑥ 法務局をかたるフィッシングメールに注意
法務省は、送信元を偽ったもっともらしいメールが届く可能性があるとして注意を呼びかけています。登記・供託オンライン申請システムからのメールの送信元は「sys-info@touki-kyoutaku-online.moj.go.jp」です。送信元と、本文中のリンク先のドメインを確認し、怪しいと感じたらリンクを開かず、公式サイトから確認しましょう。
相続の視点で見る検索用情報の申出
検索用情報の申出は、将来の相続にも関わります。ここでは、親から不動産を相続するときや、親の手続きを家族が手伝うときに知っておきたいポイントをまとめます。
相続登記の申請では、検索用情報の申出も同時に行う
相続登記は「所有権の移転の登記」に当たるため、申請の際に、新しく名義人になる相続人の検索用情報もあわせて申し出ます。逆に言えば、亡くなった親や祖父母の名義のままの不動産は、検索用情報の申出ができず、スマート変更登記も利用できません。まずは相続登記を済ませることが先決です。
高齢の親に代わって家族が手続きを手伝うときのポイント
高齢の親にとっては、パソコンやスマートフォンでの入力や書類の準備が負担になることもあります。そのような場合は、子どもなどの家族が親の代理人として申し出ることができます。その際は、親が作成した委任状を添付します。あわせて次の点に注意しましょう。
- メールアドレスは親本人だけが使っているもの。なければ「なし」とする
- 将来届く確認通知には、親本人の意思に基づいて回答する
- 親の判断能力が低下し、手続きを任せる意思を示せない場合は委任を受けられない。成年後見制度の利用などを検討する
亡くなった親の住所が古いままでも、相続登記の前に住所変更登記は不要
登記簿に載っている親の住所が昔のままでも、相続登記の前に親の住所変更登記をする必要はありません。相続登記を申請するときに、亡くなった人の住民票(住民票の除票)や戸籍の附票を添付し、「登記簿の住所に住んでいた人」と「亡くなった親」が同じ人だと示せば足ります。
注意したいのは、親が何十年も前に家を買い、その後何度も引っ越している場合や、亡くなってから長い年月がたっている場合です。古い住民票や戸籍の附票は役所での保存期間が過ぎて取得できないことがあり、そのときは権利証(登記済証)など別の資料で同じ人だと示す必要があります。役所で「古い住所の記録が残っていない」と言われたら、早めに司法書士などの専門家へご相談ください。
「国籍等」の情報が将来の相続登記をスムーズにする理由
誰が相続人になり、どれだけ受け継ぐかは、国によってルールが違います。そして、どの国のルールで相続を考えるかは、亡くなった人の国籍で決まります(法の適用に関する通則法第36条)。日本国籍なら日本の民法、たとえば韓国籍なら韓国の法律、という具合です。このように相続に使う国の法律を「準拠法」といいます。
そのため、相続登記ではまず、亡くなった人の国籍を確かめる必要があります。名義人の国籍が法務局に記録されていれば、この確認がしやすくなり、相続登記をスムーズに進めることにつながります。
八千代市・佐倉市で住所変更登記・相続登記を相談するなら
検索用情報の申出そのものは簡単ですが、登記簿の名義や住所が古いままでは効果が出ません。名義が亡くなった親のままなら相続登記が、何度も引っ越していれば住所のつながりを示す書類が必要です。申出の前に、相続登記が済んでいない不動産がないか、まず確認することをおすすめします。
当事務所の対応
検索用情報の申出そのものは無料で、ご自身でも手続きできます。ただ、「登記簿の住所が何回も前のまま」「親名義の不動産がどこにいくつあるか分からない」「相続登記がまだ済んでいない」といった場合は、申出の前に整理すべきことがあります。判断に迷ったら、当事務所の初回30分無料相談をご利用ください。
- 初回30分無料相談
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よくあるご質問
検索用情報の申出をしておけば、引っ越しても住所変更登記を自分で申請しなくてよいのですか?
はい。申し出た不動産は、法務局が住所の変更を確認し、本人の了解を得て変更登記をするため、自分で申請する必要はありません。ただし、申出をしていない不動産や、海外に転居した場合は対象外です。
高齢の親がメールアドレスを持っていない場合、子どものメールアドレスで申出できますか?
いいえ、できません。登録できるのは名義人本人だけが使うメールアドレスです。メールアドレス欄を「なし」にして申し出れば大丈夫です。その場合、法務局からの連絡は封書で親に届きます。届いたら家族も一緒に中身を読み、回答を手伝うとよいでしょう。
検索用情報の申出に費用はかかりますか?スマホから自分で手続きできますか?
検索用情報の申出に費用はかかりません。「かんたん登記・供託申請」はWebブラウザで使えるため、スマートフォンからも手続きできます。ただし、本人確認書類の写しや国籍等を証する書類(日本国籍の方は本籍地入りの住民票の写しなど)を事前に準備しておきましょう。




































































