相続手続きはまとめてご依頼頂いたほうが良いと思う本当の理由
相続手続きの相談を受ける際、『本当は、まとめてご依頼頂いた方が良いのにな…』と思うケースがあります。
ここでは、いくつかのケースに分けて、相続手続きはまとめてご依頼頂いた場合のメリットについて、説明させて頂きたいと思います。
他の資格者(税理士等)をご自身でご依頼頂いた場合のデメリット
一番大きなデメリットは、他の資格者とスムーズに連携がとれないかも知れないということです。
例えば、弊所では、複数の税理士と連携しておりますが、相続税の申告は、税理士によって、必要な書類の範囲や求められる調査内容が異なります。
預貯金の調査等では、相続開始時の残高証明書だけあれば良いという税理士もいれば、過去6.7年分の通帳が欲しいという税理士もおりますし、亡くなった方だけでなく、相続人の通帳も確認したいという税理士もおります。
弊所で財産目録を作成する際には、これ位準備しておけば大体の税理士が文句を言わないだろうというラインで財産目録を準備を致しますが、それでも、はじめてお付き合いする税理士の場合、その税理士の業務の進め方とは異なるということもあると思います。
弊所で税理士を指定させて頂く場合には、依頼人の皆様と税理士と弊所で揃って打合せを致しますので、食い違いも生じ辛いと思いますし、『もっと良い方法があるのでは…』と思った時には、ディスカッションの様な感じになります。しかし、皆様が選任した税理士の場合、上記の様に進めることは、難しいこともあるかも知れません。
次に、他の資格者の報酬が安くならないかも知れません。
弊所で連携して頂いている資格者の方々は、弊所の仕事が細かいことをご存知のため、料金設定を穏やかにしてくれていることが多いです。ざっくばらんに申し上げますと、弊所が資料をかなり丁寧に整えておりますので、担当して頂く資格者の方々は、自分自身の業務に専念出来るため、費用を抑えることが出来ます。これは、普段から連携している先生との信頼関係が前提ですので、例えば、いくら弊所が資料をしっかり整えても、皆様が依頼した資格者の方々が、あまり知らない弊所が作成した資料を信用しないとしても、それは当然だと思いますので、その事務所の正規の料金が請求されることになるのではないかと思います。
不動産のみをご依頼頂いた場合のデメリット
相続税の申告もなく、預貯金等の不動産以外の財産は自分達で全て手続きが出来るので、不動産だけ手続きをおこなってもらいたいという方の場合には、大きな問題はないと思います。
しかし、以下の様なケースでは、少し注意が必要かも知れません。
- 相続税の申告が必要な方
- 預貯金は、カードで残額を引き出せば良いと思っている方
- 配当等の通知が届いているが、株式等の手続きを行っていない方
- 資格者が全く関与しておらず、ご自身で遺産分割協議書を作成されている方
一般の方の場合、不動産の名義変更の依頼をした場合、『司法書士が、預貯金・有価証券等の手続きや、相続税の申告も全て確認してくれている。』と考えている方がおります。
しかし、不動産の名義変更の依頼を頂いた場合、通常、司法書士が見ているのは、ご依頼を頂いた不動産のみです。ご自身が作成された遺産分割協議書に他の財産が記載されていたとしても、その部分のご依頼を頂いていない場合、ご依頼頂いた不動産しか見ていないと思います。
弊所に不動産の名義変更の依頼をした方で、『これで全部お願いしたから、相続税も大丈夫ですよね。』とか『預金はいつ戻ってきますか?』と真剣におっしゃる方が案外おります。こういった方の場合、やはり一通りの財産を確認させて頂き、必要な手続きを特定した方が、安心出来るのではないかと思います。
相続の手続きは、何度も経験するものではなく、どの様な手続きが必要か正確に把握出来ている方は、あまり多くないと思います。
司法書士は、相続手続きを担当する機会が多く、こつこつと業務を行うことを得意としておりますので、手続きにご不安な点があれば、一度、相続手続き全体を確認してもらうというのも、選択肢の1つだと思います。
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