財産の評価 (株式)
(上場株式)
上場株式は、相続があった場合、被相続人が有していた株式のうち最も一般的なもので、証券取引所に登録され売買することのできる株式です。
このように証券市場を通じて売買される株式ですので、その取引相場には客観性が認められるため、財産の評価を行う場合には原則通り「時価」を用います。
具体的には、
その株式が上場されている証券取引所(札幌・東京・名古屋・大阪、福岡)が公表する、相続があった日の最終価格(終値)を評価額とします。
ただし、一定の場合にはこの最終価格よりも低い価額を評価額とします。
(非上場株式:取引相場のない株式)
被相続人が生前に同族会社等を経営しており、同時にその会社のオーナー(株主)であったということもよくあることです。
この場合、その同族会社株式は証券取引所には登録(上場)されていないことが一般的です。
このように上場されていない株式のことを非上場株式いい、取引相場のある上場株式に対して、取引相場のない株式とも呼ばれています。
取引相場のない株式は、頻繁に売買されるものではなく、取引も証券取引所を通さずに行われるため、その取引相場に客観性を求めることは難しくなります。
そこで取引相場のない株式の評価にあたっては、その株式をどのような目的で保有していたのか?という観点で評価額を決めることとしています。
① 会社を支配する目的で保有
一般的には被相続人が同族会社等のオーナーであった場合、これにあたります。
会社を支配する目的で保有する株式であるため、株式の価値もその会社の経営成績・財政状態といった会社自体の価値を反映した評価方法により評価します。
これを「原則的評価方式」と呼びます。
原則的評価方式では、その会社の営む業種によりその会社の従業員数・1年間の取引金額(売上高等)を考慮して、大会社・中会社の大・中会社の中・中会社の小・小会社の5区分に分類して評価します。
具体的な評価方法は主に次の2つです。
・類似業種比準価額方式
その会社と業種の類似する上場会社の株価を基に、配当金額・利益金額・純資産価額の3つの観点で、その会社と比較した価額を評価額とします。
・純資産価額方式
相続があった時における、その会社の資産・負債を相続税評価額で評価して求めた純資産価額を評価額とします。
② 会社の支配を目的とはせず、配当等を受け取る目的で保有
一般的には被相続人がその会社の従業員などであった場合、これにあたります。
これらの者は、会社の支配権を有することよりも、株式を保有することで得られる配当金などを保有の目的としているため、株式の評価もその会社の配当実績に基づく評価方法により評価します。
これを「特例的評価方式」と呼びます。
具体的な評価方法には配当還元方式があります。